アマチュアをバカにしてはいけない。そう再認識できる歌声に出会った。週末、友人のピアニストの紹介で、病院で行われる無料コーラスコンサートに誘われた。 彼女の話によると、今回は、ジュンジアイ(サンパウロから1時間ほど離れた町)で練習を重ねる老若男女コーラス隊の発表だが、アマチュアのレベルを超え る美しい歌声だという。
はじめての場所でも気軽に行けるという単純な理由で出かけたのだが、会場の病院に着いて驚いた。教会のように部屋の壁面がステンドグラスで覆われている。よく見渡すと、大航海時代からの遺産と思われる様々な調度品が展示されており、まるで小さな博物館のような空間だった。
西から差し込む光と共に、午後のコンサートは始まった。ブラジル人らしく、入場はバラバラ、整列もいまいちだったのだが、曲が始まると空気は一変した。 ミサ曲に始まり、ジャズテンポのアメリカ音楽、言葉を発することなく口の微妙な動きだけで音を発したり、と練られた構成で、飽きさせない。老若男女の声の バランスがよく、平均的な音の調和が実に美しかった。 彼らの中には楽譜を読めない人が何人かいるという。繰り返し曲を聴いて耳で覚えて、歌うのだという。ブラジルの音楽教育は公立学校にはなく、ほとんどの 人が楽譜を読めないのが現状なのだ。


基本的なルールを覚え、それを守り奏でることが音楽の始まりではない。日常の中に楽しく存在し、心地よく自分の中に取り入れ、その思いをみんなと共有する素晴らしさに音楽を楽しむという喜びの源があるのだということをしみじみ感じた。 聴衆の中にいた患者やシスターも、うっとりと目をつむり、思い思いの自分の世界にひたっている。何よりの診療かもしれない。 ブラジルで音楽がのびのびと育ち、様々な進化をとげつつ、多くの人に愛される理由はここにあるのか、自然にかつ自由に音楽を楽しむ喜びを教えられた気がした。
Hospital Beneficência Portuguesa
Rua Maestro Cardim 769,Liberdade Sala Nobreにて
(11) 3505-1000
毎月最終土曜日、午後15時より様々なコンサートが行われます。 詳しくは以下をご参照下さい。 http://www.beneficencia.org.br
