サンパウロの象徴にして南米最大の巨大アパート『コパン・ビル』。設計はブラジルを代表する建築家、オスカー・ニーマイヤー氏です。その1160軒のアパートの中から4軒のお宅にお邪魔しました。サンパウロの象徴的建物に住むブラジル人たちのお宅拝見。家って、人柄がそのまんま出るから面白いんですよね。
住人の一人、アントニオさんは写真家マダレナ・シュワルツ(1921~1993)の思い出を語ってくれました。彼女はハンガリーに生まれ、1936年家族と共にアルゼンチンへ移住。その後1960年にサンパウロに移りFoto Cine Clube Bandeiranteで写真の勉強をしました。作品は、ブラジルのアーティストや音楽化、文化人のモノクロポートレイトを主とし、現在16000枚に及ぶネガフィルムがモレイラ・サーレス財団(Instituto Moreira Salles)によって管理されています。有名歴史家のセルジオ・ブァルケ、その息子でMPB歌手のシッコ・ブァルケも彼女のモデルになっています。興味のある人は彼女の唯一の写真集『Personae: fotos e faces do Brasil.』(出版:Companhia das Letras, 1997年)を本屋で見つけてみてください。人物の静寂を捕らえたような白黒写真は、被写体がどんな人なのか想像を掻き立てます。
また、かつてのコパン住人で作家のレジーナ・レダは、コパンの日常を題材にした『Arca sem Noé – Histórias do Edificio Copan(ノアのいない方舟 – コパン・ビル物語)』という小説を書いています。写真家や作家、女優に画家、様々なアーティストにも愛されたコパン・ビル。あなたは住んでみたいと思いますか?

(本誌34号)
