「かわいい」という観念は時代で変わります。1970年代から人気が続いているハローキティなどは、すでに化け猫級の普遍的かわいさと呼んでもいいかもしれません。昨今のカワイさやカッコよさは、ある見方からすればコワイこともあるし、グロテスクに見えることもあるし、おじさんおばさんからしてみれば、理解不能な姿であることもあります。
近頃、サンパウロの街中で、そのようにカワイかったりカッコよかったり、おとぎの国から出てきたような若者たちがたむろしているのを見かけることがあります。マンガやアニメのヒーロー、ヒロインになりきっているコスプレ、今世界中に波及している 日本発祥のポップカルチャーです。日本ではオタク系のマニアックな趣味と扱われることもあるようですが、世界に出ればれっきとした文化。ブラジルにはカーニバルの仮装文化に下地があるからか、役になりきることに物怖じしない若い人たちに、違和感なく受け入れられているようです。彼らのコスプレや、それに準 ずる様々なファッションには、その道を追求する一途な思いがあふれ、健全な空気が漂います。

ブラジル国内で催されるアニメ関連イベントには、思い思いの仮装をした若者たちが、万人単位で集まり、大変な賑わいを見せます。熱意とノリはいまや本家日本をしのぐ勢いです。日本のものをカッコいいと思ってくれるなんて、なんだかありがたい話にも思えます。身近なものとはいえなかったコスプレが、ブラジル 経由で日本人の心に訴えるという、そんな現象を不思議な思いでレポートしました。コスプレ、ちょっとしたくなるかも?
(本誌34号)
