ブラジルの首都ブラジリアは、都市計画をルシオ・コスタ、主要建築群をオスカー・ニーマイヤーが担当し、当時としては超近代的な都市を作り上 げたことで世界中に知られています。1956年に当選した時の大統領ジュセリーノ・クビシェッキが内陸部発展促進のために新首都建設を宣言し、在任中に完 成するよう急ピッチで工事が進められ、わずか41ヶ月で落成しました。原野に突如として出現したこの街も、現在では人口250万人を抱える大都市に成長 し、2010年には建設50周年を迎えます。1987年に文化世界遺産に登録されましたが、都市が世界遺産に登録される場合は歴史的な街並みが評価される ことが多く、近代建築としての都市の登録は非常にまれです。
サンパウロからはバスで14時間。「人工都市」という響きに、整然とした近未来都市を想像していたのですが、ブラジリアに到着してみると、バスター ミナルは雑然としていて、建物も古いし、トイレの数は少ないし故障してるしで、いきなりイメージが覆されました(最近改築されたこともあり、サンパウロの チエテ長距離バスターミナルのほうが断然キレイ)。
バスターミナルから中心街へ向け、車を飛ばしていきます。歩行者と車が完全に分離され、交差点多くが極力立体交差になるよう建設されているので、信号機や横断歩道があまりなく、高速道路のようです。
ニーマイヤーの真っ白な建築物群が見えてくると、一度は「なんだ、結構小さいじゃん!」と落胆しますが、近づくにつれてやっぱり大きいということがよく分 かります。規模が大きすぎて現実味がないのです。まるでおとぎの国に迷い込んだアリスのよう。建物から建物への移動も、見た目よりずっと距離があるので、 いちいち車に乗らなければならず、その上一方通行が多いのでかなりの遠回りです。
上向きのお椀型が下院を、下向きのお椀が上院を表している 国会議事堂は、四方を芝生に囲まれ、前庭に池があり、青い空とのコントラストがまぶしい堂々たる姿です。大きすぎてどんなに引いてもカメラに収まりきらな いからびっくりです。しかし、芝生をショートカットして横切っていく人たちの足跡がくっきり残っていたり、そり遊びする子どもがいたり。思わず、ここ国会 議事堂でしょ!? とツッコミたくなります。霞ヶ関では想像もつかないようなおおらかさです。カテドラル(教会)の前にもおみやげ品のイミテーションを安 値で売る人たちや、物乞いをする老人の姿があり、無機質な近代建築に生活の匂いが染み込んでいるのを感じ取ることができました。

郊外には雄大なセラード(灌木の多い乾燥した高原)が広がり、サンパウロの10倍はあるんじゃないかと思えるほどの広い空が広がっています。
車で1時間、ゴイアニア州サンアペナス市まで足を伸ばすと、高さ168mのイチキラの滝があります。滝の近くまで歩いて行くことができ、川で水遊びもでき ます。滝はスピリチュアルな場所だとかマイナスイオンが出ているだとか色々言われていますが、確かに理屈ぬきで癒されるものがありました。水に入らずとも飛沫だけで全身びしょぬれになります。タオルと水着をお忘れなく。
空が広いせいか、ビジネス街にいるときでさえも全く窮屈に感じませんでした。その広さゆえに移動にかかる時間が予想外に長かったのですが、そこを我慢すれ ば、あとは全力で楽しむだけ。計画都市と人々の営み、大自然と建築物。様々なコントラストがブラジリアにはあります。
セラードの旅は本誌24号、JAL「世界の美女カレンダー」のブラジリアでの撮影レポートは30号をご覧ください。
